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「とある自殺願望者の独白」
おれは壊れている。
どこが、と聞かれても困るけれど。
けど確実に、どこかが壊れている。
ふと意識を取り戻した時、おれは梓サンの腕の中にいた。
梓サンはおれの背中を優しくさすりながら「大丈夫だ」と何度も繰り返している。
なにが起こったのか。いや、違う。おれがなにを起こしたのか。それは覚えていない。
けどなにかを起こしたことは理解できる。いつもそう。
多分、泣きわめいてしまった。
暴れてしまった。
保健室に引きずられて、それで、梓サンが来てくれた。のだと思う。
いつもそうだから。
――ごめんなさい。
おれがそう言って謝ると、梓サンは乱暴に、でもとっても優しい目をしておれの頭を撫でてくれる。
いつもだったらこれで終わり。
梓サンと少しだけお話をして、落ち着いたら教室に戻る。
それから、みんなに謝る。
それで、おしまい。
けれど今日は違った。
梓サンの肩越しに鏡が見えた。
保健室の洗面台についている、横長の鏡。
蛍光灯の光に照らされて、おれの髪がきらきら光る。
人よりも色素の薄い髪の毛。
柔らかくふわふわとしたそれを、昔梓サンが褒めてくれた。
綺麗だと言ってくれた。
でもおれは梓サンの髪の方が綺麗だと思った。
少し固いけれど、艶のある黒い髪。
梓サンのおかあさんも、おとうさんも同じ。黒い髪。
おれの髪は、たぶんおれの父親と同じ色。顔も見たことがないような、そんな父親と同じ色。
きたない。
きたない色。
鏡に映るその色が、たまらなくきたなく見えた。
ふと気が付くとおれの手は血まみれだった。
痛い。
すごく痛い。
両目からぽろぽろ流れる涙が、血まみれの手のひらを濡らす。
梓サンがゆっくりと俺に手を伸ばした。少し小さい手のひらで、俺の手のひらを包み込む。
――血、ついちゃうよ。
おれがそう言うと、梓サンはいつもみたいに「馬鹿野郎」って言った。
けど、その声はいつもより弱々しくて、おれは悲しくなった。
視線を上げると、ヒビの入った鏡に血がべったりとついていた。
また、やっちゃったなあ。
多分おれが割った。
いつもそうだから。
犯人はおれ。
いつもそうだから、分かる。
おれは壊れている。
どこがだろうか?
多分、全部。
全部この鏡と同じで、ひび割れていて
どす黒い血がべったりとついている。
きたない。
全部きたない。
そんなきたないおれの血まみれの手のひらを包んでくれるこの人は、本当に綺麗だと思う。
――ごめんなさい。
全部、全部。
ごめんなさい。
おれはこの綺麗な人が大好きだった。
大好きだ。
この人はおれを何度も救ってくれた。
でも、それでも。
『もう、終わりにしてしまおうよ』
頭の奥で声が響く。
物心ついた時にはもうおれの頭の中にはもう一人のおれがいた。
そいつがおれに言葉を掛ける。
『分かっているくせに』
全部、全部、終わらせる。
きっとそれが正解だ。
『正解なんだよ』
おれはいつだって頭の中のもう一人のおれの言葉に頷いてしまう。
今回だってそうだ。
……もう終わりにすべきなんだ。
そうだ。おれは分かっている。
迷いはない。
だってそれが正解だから。
命が消えるその瞬間だって、おれはきっと笑顔でいられる。
でも、それでも。
最期のその瞬間にこの綺麗な人がおれのために泣いてくれたら、なんて。
自分勝手な夢をみるのだ。
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以上、祀木でした。
またのお越しをお待ちしております!